不動産購入の流れ

住宅や土地購入時における情報収集のやり方から、申し込み、契約~引き渡しまでの流れなど、知っておきたいポイントや注意事項などをまとめました。

どんな物件を選ぶか

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1.物件選びその1 マンションか一戸建てか

 

ライフスタイルをどう考えるか、どういう生活をしたいのかによって、マンションか一戸建ての選択をしやすくなります。国土交通省が発表する「住まいの意識調査」では、一戸建て志向の方の方が多いとされていますが、住みたい場所や予算、必要な間取りなど、「自分の希望を叶えられるのはどちらか」という基準で選ぶと、後悔しない選択ができるかと思います。

 

一般的に、マンションと一戸建てのメリット・デメリットは以下の通りです。

 

<一戸建ての主なメリット>

 

 ・マンションに比べ、面積が広い物件が多い
 ・駐車場と玄関が近く、外出時に便利
 ・庭がある場合、家庭菜園やプールなどを楽しむことが出来る
 ・ペットを飼うことが出来る
 ・管理費や駐車場代などが不要
 ・建物が古くなっても土地の価値が残るため、一定の資産価値は維持できる
 ・建物が独立し、隣家と距離があるため、プライバシーが保てる
 ・自分で自由にリフォームや増築ができる

 

<一戸建ての主なデメリット>

 

 ・同じ立地条件だとマンションよりも物件価格が高くなる傾向がある
 ・将来の修繕費を自分で貯めなければならない
 ・空き巣や放火などの防犯(セキュリティ)面を意識する必要がある
 ・保温面、日照面、害虫面などでマンションよりも劣る場合がある

 


<マンションの主なメリット>

 

 ・多くの場合、立地や交通の便に優れている
 ・同じ立地条件だと一戸建てよりも物件価格が安い傾向にある
 ・眺望や共用部分の施設などが充実している場合が多い
 ・採光性や気密性・断熱性、防虫対策などで一戸建てよりも優れている
 ・将来の修繕計画などが比較的しっかりしている
 ・空き巣や放火などの防犯(セキュリティ)面での優位性は高い
 
<マンションの主なデメリット>

 

 ・管理費や修繕積立金、駐車場代(または、駐車場管理費)などの負担が必要
 ・将来の資産価値は、立地にもよるが一戸建てに比べるとあまり期待できない
 ・騒音を出したり、出されたりした際に、一戸建てよりも気遣いなどが必要
 ・管理組合などへの参加義務がある

 

 

全てが満足できる物件を探すことは難しいですから、自分や家族にとって重要な事柄を考慮し、価格面とのバランスをとりながら、ライフスタイルに合った物件の選択を行うことが大切です。

 

 

2.物件選びその2 新築か中古か

 

価格や立地などの条件が同じであれば、中古住宅よりも新築住宅を選ぶ人が多いでしょう。

ただし、同様の立地条件で同様の設備を備えていれば、新築住宅の価格が高く、中古住宅の方が安い場合が多くなります。

 

中古住宅を取得する場合の判断基準は、限られた資金計画の範囲内で、物件の立地・環境・間取り等の諸々の条件を総合的に判断し、新築住宅よりも自分の求める諸条件になるべく近いものであるかどうかという点です。

 

例えば、「職住近接」を実現することが最も重要であるならば、街中のマンションを選択することになるでしょうし、「子供のための広い間取り」が希望であれば、郊外の中古マンションや一戸建て住宅を選ぶのもよいでしょう。

 

また、中古住宅の購入を検討する場合は、目に見えない部分、例えば断熱材や柱、基礎部分の劣化なども考慮する必要があります。専門家でないと判断が難しい部分も多いので、できれば一度、専門の業者に相談されることをお薦め致します。

 

物件情報の収集

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1.物件情報はどうやって集めるか

 

「不動産に掘り出し物なし」と言いますが、希望に合う物件と巡り合えるかどうかは、どれだけ物件情報を集めたか、に大きく左右されます。沢山の物件情報を集め、多くの物件を見学することにより、自分の希望と合った物件と出会える可能性は大きく高まります。非常に時間も根気もいる作業ですが、大きな買い物ですので、なるべく時間を割いて情報収集にあたることをお薦め致します。

 

 

(1)情報アンテナを張り巡らす

販売時に人気を集めるような物件情報を集めるには、普段から積極的に情報を集めておくことが大事です。インターネットは最も簡単に、そして大量の情報を得られるツールですが、最新情報は不動産会社が把握していることが多いので、あらかじめ不動産会社に希望条件を伝えて、新しい情報が出たら連絡してもらえるようにしておくのも一手です。また、チラシや新聞広告もなるべく目を通すようにするなど、色々な情報源を使うことが必要です。

 

 

(2)インターネットを利用する

沿線、間取り、価格等について広い範囲から素早く情報を得るには、インターネットで情報を収集するのが最も適していると思われます。

 

 

(3)チラシ広告、折り込み広告等

住まいの近くの物件情報は新聞に折り込まれるチラシ等が役立ちます。

 

※ただし、チラシなどに載っている情報の読み方には注意が必要となります。

 

不動産広告には各種規制法令があり、特に不動産公正取引協議会が設定した「表示規約」は、広告表示の必要表示事項、特定事項の表示義務と表示の禁止、表示基準、特定用語の使用基準、不当表示の禁止等を定めています。主な不動産業団体に加盟している不動産会社は、この規約を遵守する義務を負っています。

 

しかし、一部の悪質な不動産会社が、時としてチラシなどに不当な物件表示をして惑わすことがあります。「掘出しもの」とか「格安」といった類いの表示は禁じられているので注意が必要です。

 

 

(4)不動産会社を訪問する

「餅は餅屋」と言いますが、やはり不動産会社には情報が集まってきます。特に新規物件の情報などは、一般に出回る前に、まず不動産会社に知らされることが多いので、普段から不動産会社とコンタクトをとり、「こういう物件が出たら教えてくれ」などとお願いしておくと、有益な情報が得られたりします。

 

仲介会社の場合、買主の依頼に基づいて物件探しから交渉、契約までをサポートしてくれますから、忙しくてなかなか動けない人や、家探しを始めたものの、何をどうしたらいいのか全然わからない、という人にはメリットが大きいといえるでしょう。

 

不動産会社との関係を知っておこう

媒介契約とはなにか

 

不動産を買う時や売る時に、不動産会社に仲介を依頼する契約を媒介契約といいます。

 

「媒介契約」とは、あまり聞き慣れない言葉ですが、簡単に言うと、お客様の代わりに物件を探したり、逆に物件を買ってくれる人を探したりする作業や、実際の購入・売却の契約時に契約内容について説明したり、契約書などの必要書類を作ったりする作業をお願いする契約のことです。

 

不動産会社がこの媒介契約を締結したときには、物件特定のための必要表示、売買すべき価額・評価額、媒介契約の種類、有効期間、解除に関する事項、成功報酬額等を記載した書面を作成し、記名押印して、依頼者(売主)に交付すること等が義務付けられています。

 

申込みから売買契約まで

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1.購入の申込み

 

不動産会社によって手順はまちまちですが、一般的には書面にて「この物件を〇〇円にて買います」という意思を表示することにより、購入の申し込みを行うことが多いです。申込書に必要事項を記入し、印鑑(認め印)を押すことにより、「この住宅を買います」という意思を売主に伝えることとなります。

 

また、多くの場合、購入の申し込みと合わせて、ローンの仮審査を行います。これは、ローンの仮審査を通すことにより、「この人は物件を買うことが出来る(=ローンという資金源がある)」ということを売主に伝えるためです。全額現金で支払う場合は、もちろんローンの審査は必要ありません。ちなみに、ローンの仮審査には免許証か保険証のコピーと、収入が証明できる書類(源泉徴収票や納税証明書等)のコピーが必要です。多くの場合、結果は1~2日でわかります。

 

 

2.重要事項の説明

 

不動産取引には複雑な法律等が絡み合っているため、宅地建物取引業法(以下宅建業法)は不動産会社が売主となったり、媒介を行う場合には、購入者に対して売買契約に先立って一定の重要な事項について、書面で説明するように義務付けています。これを重要事項の説明といいます。

 

重要事項の説明は不動産の専門家といえる「宅地建物取引士」が購入希望者に対し「宅地建物取引士証」を提示し、自分が有資格者であることを証明した上で物件の内容や取引条件などを説明する義務があります。

 

重要事項は、購入対象物件に関する事項と取引条件に関する事項とに分けられますが、これら法定の一定事項を説明すれば十分であるというものではなく、これら事項以外であっても、説明しないことにより買主に不測の損害を与えるような事実があれば、説明しなければなりません(宅建業法第47条)。

 

不明な点があれば、重要事項説明を受ける時点で十分に納得するまで説明を受けるようにしましょう。

 

 

3.売買契約

 

重要事項の説明を宅地建物取引士から受けて、取引しようとする物件に関する権利関係、法令上の制限、その他物件取引の諸条件について納得したなら、売買契約の手続きに入ります。契約は口頭でも有効ですが、宅建業法では取引の安全と買主保護の見地から、不動産会社が自ら当事者として売買契約を締結するときには、買主に一定の事項を記載した書面(売買契約書)を交付するように義務付けています。

 

また、多くの場合、契約時に「手付金」(申込証拠金と呼ばれる場合も)を支払います。一般的には50万~物件価格の1割を支払う場合が多いです。

 

媒介の場合も同様に取り扱われます。契約書に記載される事項は、購入する物件や取引の条件によってさまざまなパターンがありますが、基本的な事項は次のとおりです。

 

 

(1)記載しなければならない必要事項

・当事者(売主、買主)の氏名、住所

・物件を特定するために必要な表示

・所在および住居表示、登記上の地番・家屋番号、土地面積、建物面積等

・代金の額、支払い方法、支払い時期

・物件の引渡し時期…通常新規分譲物件の場合には、竣工予定日とともに若干の余裕をみた買主への引渡予定日をその時期として表示します

・所有権移転登記の申請時期…買主が売主に売買代金の支払いを完済したときを所有権移転の時期とします

 

 

(2)定めがあれば記載する事項

・代金以外の金銭の授受

・契約の解除

・損害賠償額の予定・違約金

・住宅ローン不成立時の処置

・危険負担

・瑕疵担保責任

・租税その他の公課の負担

 

売買代金の支払いから引き渡しまで

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物件の契約から引き渡しまでの流れは以下の通りです。

 

4.住宅ローン申し込み~ローン契約

売買契約が成立したら、住宅ローンの申し込みを正式に行います。その後、金融機関による本審査を経て、承認されれば、金融機関と正式なローン契約(金銭消費貸借契約)を結ぶことになります。通常、かかる期間は大体2~3週間です。

 

5.内覧チェック

多くの場合、物件の引き渡し前に、建物や境界の状態をチェックする「事前内覧」を行います。ここでは、建物の状態や仕上がりについて、不具合がないか、破損や汚損がないかを確認し、何か問題があるようなら、引き渡しの日までに解決してもらえるように依頼します。なお、中古物件の場合は、基本的に「現況有姿(=今のまま)」での引き渡しとなりますので、内覧チェックは行いません。

 

6.残金決済

残金決済とは、購入価格から手付金を引いた金額すべてを支払うことです。諸費用や不動産会社への仲介手数料も同じタイミングで支払います。住宅ローンを利用する場合、大抵は金融機関から直接、売主や不動産会社の口座に振り込むことが多いです。残金の支払いが確認されたら、物件の引き渡しが行われます。

 

7.引渡し・入居

残金決済が終われば、念願のマイホームの引き渡し・入居となります。引き渡しでは、住まいの鍵を受け取るほか、司法書士によって不動産の所有権移転(新築の建物は所有権保存)登記が行われます。引き渡し時にもう一度建物の状態を確認し、問題がなければいよいよ新生活のスタート!入居の翌年には、確定申告で住宅ローンの控除申請もお忘れなく。